嫌な記憶を忘れる方法。ブッダの教えと心理学で心を軽くする方法
こんにちは。みなさんは「嫌な記憶を忘れる」ために、どんな工夫をされていますか?仕事や人間関係、ちょっとした失敗談など、私たちには忘れたい過去がひとつやふたつあるものですよね。寝る前やふとした瞬間に思い出しては、「あぁ、また頭に浮かんできた…」と気分が落ち込んでしまうことはありませんか?
実は、心理学ではこのように何度も思い出してしまう現象を「反芻思考(はんすうしこう)」と呼びます。嫌な記憶を繰り返し思い出すことで、その記憶がより強化され、より深いトラウマになってしまうこともあるのです。でも、ブッダの教えや心理学をうまく取り入れることで、私たちは心に負った傷を少しずつ癒やし、前に進む勇気を手に入れられるかもしれません。
今回は「嫌な記憶を忘れる」ためのヒントとして、ブッダの教えと心理学の両面からいくつかの方法をご紹介します。
この記事は、Youtube みぃぶぅのココロTV「嫌な記憶を忘れる方法|ネガティブな記憶を消す」の内容を記事にしたものです。
動画もぜひお楽しみください。
1. なぜ嫌な記憶は消えないのか
まず、どうして私たちは嫌な記憶をなかなか忘れられないのでしょうか?それは、脳が“ネガティブな情報”を強く記憶するという性質を持っているからです。人間は危険を避けるために、嫌なことや失敗をしっかり覚えておくように進化してきました。そのため、つらい出来事ほど繰り返し思い出してしまいがちなのです。
さらに、この“繰り返し思い出す”行為こそが「反芻思考」です。一度頭によぎると、気づかないうちに何度も何度も同じ記憶を想起してしまい、そのたびにストレスや罪悪感、不安などが増幅されてしまう。これが、嫌な記憶をなかなか忘れられない大きな要因となります。
2. 嫌な記憶を忘れるヒント1:ブッダの教え
昔から、多くの人が抱えてきた「心の痛み」を和らげる教えとして有名なのが、仏教のブッダの教えです。ブッダは「過去に執着すると、心は苦しみから逃げられなくなる」という趣旨の言葉を残しています。これはつまり、過去の出来事はもうどうしようもないのに、それに心が縛られていると、今この瞬間を台無しにしてしまうということです。
ブッダの教えにおいては「今ここ(マインドフルネス)」が重視されます。私たちが嫌な記憶を忘れるための第一歩は、この「今、目の前にある現実」に目を向けることです。頭の中でグルグルと回り続ける過去の出来事から、いったん意識をそらし、「今」を感じる練習をすることで、心を少しずつ軽くすることができます。
3. 嫌な記憶を忘れるヒント2:心理学的アプローチ
心理学では、先ほど触れた反芻思考を止めるために、「認知行動療法」や「マインドフルネス」などの方法が提唱されています。これらは、頭の中で繰り返されるネガティブな思考パターンを自覚し、そのパターンを修正することでストレスを軽減していく技法です。
- 認知行動療法(CBT): 自分がどんな考え方をしているのかを書き出し、客観的に振り返ることで、ネガティブな認知のクセを見直す方法です。
- マインドフルネス: 「今、この瞬間」に集中し、過去でも未来でもなく、呼吸や身体感覚、目の前の風景など、五感に意識を向ける練習です。
いずれの手法も、嫌な記憶を忘れるきっかけとして役立ちます。どちらも継続して行うことが大切で、すぐに結果が出なくても焦らず、少しずつ続けてみると効果を実感しやすくなります。
4. ブッダと弟子のエピソード:アングリマーラ物語
ブッダの弟子の中に、かつては荒々しい生き方をしていたアングリマーラという人物がいました。彼は仏道に帰依したあとも、過去の悪行が自分を苦しめ続け、夜になると何度も思い出しては自責の念にかられていたといわれています。
ある日、アングリマーラはブッダに相談しました。「過去が私を苦しめて離しません。どうしたらこの罪悪感を捨てられるのでしょうか?」と。するとブッダは、ただ穏やかに川の流れを見つめながら、こう教え諭しました。
「川は常に前へと流れ、決して後ろに戻らない。あなたの過去はすでに過ぎ去ったのです。執着すればするほど、心はその影に囚われ続けるでしょう。しかし、今ここに目を向ければ、あなたは自由になれるのです。」
ブッダの言葉を聞いたアングリマーラは、「自分は過去を引きずって、現実には存在しない影と戦っていたんだ」と気づきました。この気づきが、彼を少しずつ解放へ導いていったのです。
5. 「川の流れ」に学ぶ心の在り方
ブッダがアングリマーラに示した“川の流れ”のたとえは、「過去は決して変えることができない」という真実を教えてくれます。それと同時に、「嫌な記憶を忘れる」には、変えられない過去に執着するのではなく、“今どうするか”にフォーカスすることが大切だと気づかせてくれます。
私たちも、どれだけ後悔したところで過去に戻れるわけではありません。むしろ、今ここでできる行動や思考に意識を向けることで、少しずつ未来へと進むことができます。嫌な記憶を小さくしていくには、この“今を生きる”視点が欠かせないのです。
6. 脳が作り出す「現実」の正体とは
私たちが頭の中で思い描いている“過去の記憶”や“未来の不安”は、脳の働きによって再構成された“イメージ”にすぎません。実際にその嫌な出来事が今この瞬間に起きているわけではないのに、まるで現実のように感じてしまう。その結果、不安や恐怖が増幅されてしまうのです。
このように脳が作り出している“イメージ”に振り回されていることを自覚すると、「あ、これは頭の中だけで起きていることなんだ」と気づきやすくなります。気づくだけでも、嫌な記憶に引きずられる時間が少し短くなるでしょう。
7. 心を軽くするための小さな習慣
では、具体的にどうすれば「嫌な記憶を忘れる」手助けになるのでしょうか。簡単にできる習慣をいくつかご紹介します。
- 深呼吸をする
嫌な記憶が浮かんだら、まずはゆっくりと大きく呼吸をしてみましょう。呼吸はいつでもどこでもできる、心を落ち着ける最強のツールです。 - 書き出してみる
過去の出来事を頭の中で反芻し続けるのではなく、紙に書き出してみてください。自分の気持ちを客観的に見ることで、意外と「そういえば、こんなに大きい問題じゃなかったかも?」と感じることがあります。 - 体を動かす
ウォーキングやストレッチなど、軽い運動をするだけでも気分転換になります。運動すると脳内でセロトニンやエンドルフィンなどの「幸せホルモン」が分泌され、ネガティブな考えを和らげる効果が期待できます。 - 人に話す、またはプロに相談する
どうしても忘れられない強烈なトラウマがある場合、自分だけで抱え込まずに信頼できる人に話してみましょう。場合によってはカウンセラーやセラピストといった専門家に相談するのも一つの手です。
8. まとめ:嫌な記憶を忘れるために大切なこと
「嫌な記憶を忘れる」ためには、過去を無理に消し去るのではなく、まずはそれを受け入れた上で“今を生きる”ことが大切です。ブッダは川の流れにたとえて「執着を手放しなさい」と説き、心理学では反芻思考に着目して「自分の思考パターンを客観視する」ことを推奨しています。
過去の出来事やトラウマは、すでにあなたの目の前にはありません。頭の中で思い返すことで、あたかも現実のように体験しているだけです。そのことに気づいたら、ゆっくり深呼吸をしてみてください。そして「今、私は何をしている?」「今、目の前にはどんな世界が広がっている?」と自分自身に問いかけ、意識を戻します。
私たちはどうしてもミスをしたり、失敗したりしがちな生き物です。それは決して悪いことではなく、むしろそこから学べることがたくさんあります。大切なのは、そこに“執着”しすぎないこと。ブッダの言葉を借りるなら、「川は戻らない」のです。私たちの人生もまた、前にしか進みません。
今からできること
いかがでしたか?
嫌な記憶に囚われるのは決して珍しいことではありません。誰にでもある自然なことです。でも、少しずつ自分の思考パターンを知っていきましょう。
「今」にフォーカスする練習を重ねることで、その記憶がもたらす苦しみを和らげ、より軽やかに前へと進めるようになります。
ぜひ、今日から自分に合った方法を試してみてください。大切なのは、小さな一歩を踏み出すことです。あなたの心が少しでも軽くなることを願っています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。お読みいただいた内容が、嫌な記憶を忘れるきっかけになれば幸いです。それでは、また次の記事でお会いしましょう。
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。医療的・専門的なアドバイスが必要な場合は、医師や専門家に相談するようお願いいたします。

みぃぶぅ
Youtube 「みぃぶぅのココロTV」 国家資格「公認心理師」 臨床心理学修士 行政機関の心理師として発達相談、家庭相談、教育相談、子育て支援等に関わっています。
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